入学試験後期日程合格発表

「狭き門くぐり380人に春」

 平成九年度入学者選抜の後期日程試験合格者が、三月二十三日(日)の正午過ぎ、本郷キャンパスで発表された。募集人員は去年と同じ三百六十七人で、合格者数は去年より一人少ない三百八十一人だった。出身高校別の合格者数では、開成高校(東京都)と麻布高校(東京都)が二十人で共に一位の地位を分かち合った。同時に外国学校卒業学生特別選考も発表され、第一種・第二種合わせて昨年より十一人少ない二十九人が合格した。


 今年度の合格発表は、小雨の降る中で行われ、昨年度の晴れの天気の中での発表とは対照的に、肌寒い天候の静かな合格発表となった。

 正午すぎ、総合図書館横の発表会場を仕切るロープが解き放たれると、待ちわびていた受験生とその父兄たちは、一斉に会場になだれこんだ。「やった!」と声をあげる者、その場に立ち尽くし涙ぐむ者など、様々な光景が見られた。また、受験生本人の代わりに父兄が会場に来て、電話で本人に合格を知らせるという一場面もあった。

 合格して喜びに浸っている受験生たちを、運動部のラグビー部や漕艇部などが胴上げを行ったり、記念写真を撮ったりと、合格発表会場の恒例となった行事も見られた。

 しかし、今年は小雨の降る肌寒い天候だったせいもあり、全体的に盛り上がりの雰囲気に欠け、前期に比べて合格者数も少ないため、静かな合格発表の場となった。

 前期試験で不合格となり、浪人になるかどうかの瀬戸際であったり、私立大学進学を前提に「あわよくば」という思いで望んだりと、受験生によって事情は様々だ。それだけに、第一段階選抜で三分の二近くが足切りされ、さらに二次試験で約五分の一に絞られる狭き門の本学後期入試で合格した喜びはひとしきりで、合格者においては「だめだと思っていた」「信じられない」という声が多かった。

 科類別の合格者数は、文1が六十五人、文2が四十人、文3が五十七人、理1が百四十四人、理2が六十五人、理3が十人であった。

 これで前期・後期合わせての合格者数は、文1が六百四十六人、文2が三百八十五人、文3が五百五人、理1が千三百十三人、理2が五百七十二人、理3が九十一人の計三千五百十二人となった。これは、昨年の三千五百二十九人に比べ十七人の減少。

 出身高校別の合格者数では、後期のみで見ると、開成高校(東京・私立)と麻布高校(東京・私立)が共に二十人で、首位の座を分かち合った。

 また、前期・後期合わせての合格者数では、開成高校が百八十八人で十六年連続の堂々トップ、次いで学芸大付高校(東京・国立)が百十一人で二位につけた。引き続き、灘高校(神奈川・私立)が三位、桐蔭学園(神奈川・私立)が四位、麻布高校(東京・私立)が五位と、例年通り、有名私立高校が上位を占めた。昨年二位の合格者数を出した女子校の桜蔭(東京・私立)は、六位に後退した。

3500人が新たな船出

安田講堂で平成8年度卒業式

 平成八年度の卒業式が、三月二十七日、本郷キャンパスの大講堂(安田講堂)で挙行され、三千五百七十六人が学士の称号を得た。なお卒業式は、平成四年度から全員が大講堂に入場できるように、文系学部と理系学部の二回に分けて開催されるようになっており、今年は、この形式で行われる五回目の卒業式となる。

 一回目(文系学部)の式は、午前九時三十分から、音楽部管弦楽団による奏楽によって始まった。今年の選曲は、ヘンデル作曲の「水上の音楽」。

 壇上には吉川総長をはじめ、当該学部の学部長・代表教官・事務局長、学生部長が着席。演奏の後に、吉川総長から各学部一人ずつの卒業生の代表に、各学部長臨席のもと、それぞれの学位記が授与された。

 その後、吉川総長が卒業生に対して約二十分にわたる告辞を述べた。その中で吉川総長は、“現代の邪悪なるもの”ということをテーマに話を進めた。人類にとっての敵とは、以前は外部から襲ってくるものであったが、現代の敵は、私たちの内部からやってくる問題であることを指摘。環境問題などは、私たち一人一人が日常生活のレベルで意識を持たなければ解決できないと、卒業生への期待を込めて語った。

 最後に、音楽部コールアカデミーによって学生歌「足音を高めよ」とスコットランド民謡「蛍の光」が合唱され、式の幕は閉じられた。卒業生の中には、時々涙ぐむ姿も見受けられた。

 二回目(理系学部)の式は、午前十一時三十分より行われ、プログラムはほぼ同様に進められた。式終了後、午後一時三十分までは大講堂が開放され、卒業生たちは学友および父母と共に、記念写真を撮影していた。なお、卒業式に同伴した父母は、法文二号館の教室で、大講堂内の同時中継された映像を通して、卒業式を見守った。

 あいにく、大講堂の外では小雨の降る思わしくない天候であったが、新しいスーツや着物を着た卒業生たちが、四月からの新しい進路に向けて大きな一歩を踏み出していく姿は、晴々とした明るい雰囲気を醸し出していた。

淡青手帳

  東京ディズニーランドに遊びに行った。昨年の四月に新しく「TOON TOWN(トゥーンタウン)」というものができ、ますます人気が出てきたようだ。今度の四月十五日にはさらに新しくアトラクションが完成し、さらに充実したものになっていく

ディスニーランドでは、従業員のことを「キャスト(出演者)」と呼ぶ。ここに普通の遊園地とは違う、こだわりがある。パーク全体が素晴らしい体験を提供するための大きなステージであり、起こることのすべてがショーであるという考えだ。さらに『テーマパーク』の考え方が、アトラクションやサービスはもちろん、なにげないベンチや看板など、あらゆるものにいきている

アトラクションでシンデレラ城に行った。そこの“キャスト”も、「自分の恥ずかしさ」を越え、「来てくれた人々を本当に心から喜ばせたい」という気持ちが本当によく表れていた。また、パレード、特に夜のディズニー・ファンティルージョンは非常に美しく、見ている人を感動させる

ディズニーランドでは、このように「人を喜ばせる」ことを一番に考え、研究しているということがよくわかる。それはどこでも同じだろうが、ディズニーランドは本当に徹底していると感じる。やはりそこには自然と人が集まってくるだろう

今、政治に対して国民の関心がないと言われる。それは「国民のための政治」と言いながら、結局自分の利益を中心にした生き方になっているからではないだろうか。政治家は、まず第一に、誰のために政治を行なっているのかを真剣に考えていくべきでは、と感じた。


1997 東大新報