健康あれこれ vol.38

理想的な断食法の理論と実際(2)

回復食を的確に

断食日数+2日が理想

 断食は健康増進・開運・解脱のためにも不可欠の秘法であることをご紹介したが、殆どすべての医学者が断食に関する知識は皆無で、一般人になるとさらにひどく、7日間の断食直後に握り寿司を2人前食べた無茶な男がいる。「よく死にませんでしたね」と言うと「いけないんですか」と言ったが無知ほど怖いものはない。その男は死にこそしなかったものの爾後、体調が悪く、顔はドス黒くなり、病人となってしまった。これも正規の断食を行って上手に回復すると頑強となるが、現在は通院状態でいつ治るかも判らぬという。
 先年、某市で「断食、患者を殺す」と大きく報道されたことがある。調査すると、実情は8日間の断食を無事に終了したまではよかったが、空腹に耐えかねて、その直後に天丼とうな丼を食べたことが判った。死ぬのが当然である。大東亜戦争の末期、南方の島で戦っている飢餓状態の勇士に輸送船が着き、お粥を腹一杯食べたら、顔が腫れて死んだという実例がある。
 「断食は諸刃の名刀」で、重患をも断つが、回復食を誤ると命をも絶つ、ということをよくよく知らねばならぬ。
 高野山の修業僧は21日間の断食後には軟らかなお粥を少量食べるという。屈強な若者でもこれは無謀で、本来ならば回復食の第1日目には重湯120gを昼・夕の1日2回摂取することから厳格に回復することである。
 世間の断食道場では7日間の断食後、第1日目は重湯、2日目にはお粥、3日目からは平常食という急テンポで回復させている所があるが、理想は断食日数プラス2日目が平常食の6分を食べるというのが望ましく、回復食を厳格に行うことにより、断食実施の効果は100%期待ができるのだ。例えば、最大血圧230もある人さえ、7日間の断食(水だけは1日2リットル程度飲む)で150位には下がり、降圧剤と違って副作用は全くない。
 先年、ヨットで遭難、1カ月余漂流して奇跡的に発見され、断食状態で救出された男が収容された病院で3日目に山盛りの丼を1杯半食べ、医者も旺盛な食欲に脱帽したと新聞では報道されたが、無学・無知・無能な医者の無定見さに私は寒くなったのである。昭和天皇が不調で断食状態であられた直後に、治医はアイスクリームをさし上げ、多量の下血があって崩御に直結したことは周知の事実である。
 それゆえにこそ、1日〜8日の断食(弟・門脇尚平は1日〜21日)を数十回働きながら体験している私は断食の著効と安全確実な回復の方法を諸賢にご紹介申しあげたいのである。通学や通勤しながら断食を実行すれば費用もかからず、病気は根治、病根は遮断、健康増進、開運など、一石よく何鳥もの効果を期待できるが、渡辺正博士の指導で渡辺医院(中野区東中野)に入院するのも、看護婦さんたちがすべてをみてくれるから、年配者の方々には一法である。
 現代医学者の中でも、最近は絶食療法(「断食」の文字は宗教的なニュアンスがあるためか、「絶食」とか「胃腸休養法」などと呼ぶ医師もいる)に関する記事を書く人を時々見るが、いずれも的確な方法とは言えず、その効果も果してありやなしや、ましてや危険と思われるものもあり、それ故にこそ、ここに万人が実行して卓効のある確実な方法をご紹介したいのである。
 断食が有史以来、実行されてきたことは各種文献でも明らかで、キリストは40日間、荒野をさまよって断食をし、回教には戒律としての断食があり、民間療法にも数多くの断食法がある。だが、科学的に検討してみると不備な点が多く、万全なものとは言えない。私が敢えて正しい断食法をご紹介するゆえんもここに存在するのである。
 ここで現代医学では全く無視している断食はなぜ有効か、について略述しよう。断食をすると活動のエネルギーは外から取れないので貯蔵されている栄養から取らねばならぬ。
 いわば蔵払いで、筋肉や内臓の隅々より栄養を引き出し、体全体に血液がくまなく循環するので、滞留した各種の毒素も引き出される。こうして体の隅々まで大掃除ができるのである。

       門脇弘 (評論家)


今、防災について(14)

国民一人一人の自覚必要

 今年は関東大震災から75年になる。寺田寅彦は1921年(大正10)12月8日の夜かなり強い地震のあったことを、随筆集の中「断水の日」という章で詳しく記述している。「それは私が東京に住まうようになって以来覚えないくらい強いものであった。振動周期の短い主要動の始めの部分に次いでやって来る緩慢な波動が明らかにからだに感ぜられるのでも、この地震があまり小さなものではないと思われた。このくらいのならあとから来る余震が相当に頻繁に感じられるだろうと思っていると、はたしてかなり鮮明なのが相次いでやってきた」。
 この地震を理科年表により確認してみるとM7.0、震源地は茨城県南部で千葉・茨城県境付近に家屋破損・道路亀裂などの小被害があったと記載されている。
 「淀橋地殻の水道の溝渠が崩れて付近が洪水のようになり、東京全市が断水になる恐れがあり、大急ぎで応急工事をやっていると、翌日の夕刊に記載されていた。工事は雨にも妨げられて、11日はとうとう断水になった。私の家では隣家の井戸がかりられたので、さして不便はなかった。断水はいつまで続くかわからないので、井戸を掘るほかない」と結んでいる。1922年4月26日浦賀水道にM6.8の地震が発生し、東京・横浜でも死者が発生した。そして1923年9月1日の関東大震災となる。
 南関東直下型地震の接近については、昨年8月11日に「地震予知連絡会」から発表された。関東大震災以後南関東の地下は比較的静穏であったが、M4級の地震が近年東京湾を中心として増加傾向にあり、警戒を要するというものであった。93年よりM4を超える地震が発生し始めたのが、別図でも伺える。
 東京都防災会議は97年8月29日に「東京直下型地震」が起きた場合の被害想定を発表した。M7.2「兵庫県南部地震」と同じ級の地震が発生すれば、死者7200人、家屋全半壊14万3千棟、焼失家屋37万8千棟というものである。この数字を「阪神大震災」と比較すると死者は800人多いが、家屋全半壊は11万5千棟も少ない。
 143年前の安政2年の江戸直下型地震ではM6.9ともいわれているが、死者は1万人を超えたという調査もある。東京23区の人口密度は平成7年末で1平方km当たり12,822名、神戸市は2,598名で神戸市の4.9倍にもなっている。地震は平日の夕方に想定されており、東京都には3百数十万人の人が昼間流入していること。交通機関の被害による死者も想定されておらず、夕方であればビルで残業中の人も多くいて、ビルの中間階のざくつによる被害も予想されることなどがあり、この数字を鵜呑みにするわけにはいかない。また家屋の全半壊が少ないのも納得できかねる。家屋の耐震化は進んでいるが、横浜市等で実施されている木造家屋の耐震調査によれば、調査家屋の3分の2は倒壊の危険が指摘されている。昭和55年以前(建築耐震基準改正前)の家屋は53%位存在しており東京都23区の55年前の木造家屋は101万戸あり、全家屋の30.6%ある。発表された数字に惑わされることなく、被害はもっと大きいことを国民一人一人が自覚して、対策に取り組まねばならない。

都市防災研究会 代表補佐 大間知倫(おおまちひとし)S33年経卒


イベント情報

フランス19世紀末の女性たち展

 19世紀後半、フランスは政治・経済・社会のすべてで大きな変革を経験し、それはあらゆる階級の人々に影響を及ぼした。本展では、当時数多く描かれていた女性像を通して、過渡期を生きた女性たちの姿を紹介する。
 この時代、女性の地位や役割は、母や妻から女優や芸人へ、農婦から都会の労働者へと大きく変化した。バレエの踊り子、サーカスの芸人、舞台の女優などをはじめとする姿には、たくましく自分の力で生きる女性を見ることができる。また、流行の服を身に着けてパリの街を散策する姿からは、当時のファッションの華やかさが感じとれる。愛と死と性をテーマとした作品が多いのも、世紀末に特有の現象といえるだろう。
 マネ、モロー、ボナール、カサットなどの水彩画から版画まで約120点とフランソワ=リュベール・カラバンの彫刻約20点で構成される「フランス19世紀末の女性たち展」。当時の女性たちの輝きを、肌で感じてほしい。
▽会期 8月18日(火)〜31日(月) 午前10時〜午後7時(8月23日(日)は午後6時閉場、最終日は午後5時閉場)※入場は閉場30分前まで
▽会場 日本橋三越本店7階ギャラリー
▽入場料 一般・大学生 600円 高校・中学生 400円
▽問合わせ先 日本橋三越本店 販売促進部 文化企画担当 TEL 03-3274-8702

   ◆       ◆       ◆       ◆   

希望者20名に招待券プレゼント
 今回紹介した「フランス19世紀末の女性たち展」の無料招待券を20名様にプレゼントします。ご希望の方は官製はがきに住所・氏名・職業(学部、学年)などを明記して、〒153-0041 東京都目黒区駒場2-15-8-103  東大新報「フランス19世紀末の女性たち展」係までお寄せください。

 「赤門ひろば」では政治、経済、大学問題など様々な分野についての自由なご意見をお待ちしています。
文章の長さは500字以内▽写真、コント、イラストなどもお待ちしています。
職業、氏名、年齢、住所などを明記して下さい(匿名も可)。▽掲載された方には薄謝をお送りいたします。
あて先は〒153-0041 東京都目黒区駒場2-15-8-103 東大新報「赤門ひろば」係(FAX=03-3468-2572、
E-mail=t-shinpo@super.win.ne.jp


ホームページ紹介 Vol.35

地文研究会天文部

 地文研究会天文部は、駒場キャンパスを中心に活動するサークルで、多くの大学から部員が構成されている。活動としては、山梨県にある観測所に星の観測に出かけたり、房総、秩父、富士などの星が良く見える場所に数人で遠征に出かけたりする。また、1年間に5回ほど1泊から3泊の日程で合宿も行う。
 これらの遠征では、夜になると双眼鏡で星雲を見たり、天体写真を撮影したり、流星を観測したりと自由に星空を堪能することができる。もちろん、星の探し方や星座、星雲については詳しい人が丁寧に教えてくれるので、初心者でも心配は要らないという。天文部は昼間は活動をしないかというとそうではなく、毎日、昼休みなどを利用して太陽の黒点などの観測を行っている。
 毎年11月の駒場祭では、天文部自慢のプラネタリウムを出展・上映している。これは、直径10mの大きなエアドーム内に投影機で星空を映して解説を加えるもので、全て部員の手作りによるものだ。去年の駒場祭では、「星の国から97秋」と題するプラネタリウムを上映したが、ホームページにはこのときに撮った集合写真が載っており、それを見るとエアドームの大きさに改めて驚かされる。
 ホームページにはこの他にもいろいろな情報が載せられているので、興味を持った方は、ホームページにアクセスしてみるといいだろう。


赤門クロスNo.81

 待ちに待った夏休みがはじまりましたね。今年は冷夏のようですが、みなさん夏風邪を引かないよう気をつけて下さい。
 クロスが完成した後、二重マスの文字をABCDEFGの順に並べると、今話題になっているある言葉が出てきます。それが今回の答えです。(出題/A・Y)

タテのカギ

1.新内閣でいきなりの文部大臣に抜擢された本学の元総長。――朗人
2.エル・ニーニョの反対で、東太平洋赤道域の海面水温が平年より低くなる現象。スペイン語で「女の子」を意味する。ラ・――
3今の日本には――の一声が必要だと思います
4.湿地に小雨の降る闇夜などに燃え出て、空中を浮遊する青い火の玉
5.lot
7.本来は馬に対して使われる言葉ですが、比喩的に血統・家系のすぐれた人に対しても使います。「あいつは政界の――だ」
10.オリンピックは幼い頃からの――でした
12.ルビコン川を渡ってローマに入るとき、カエサルが言った言葉。「――は投げられた」
13.深く貯えられた知識。「――のあるところを披露する」
14.「古池や ――飛び込む 水の音」
16.思わぬ結果が起こることのたとえ。「風が吹けば――屋が儲かる」
18.←→ハイ

ヨコのカギ

1.自分より先に入門した人。――弟子
3.過ぎ去ったことを思い出すこと
6.メル・ギブソン主演の人気シリーズ。今夏4作目が公開されます。「――・ウェポン」
8.旧約聖書では、神が二度と洪水による審判を起こさない契約のしるしとして作ったと書かれています。
9.フィリピンの首都
10.新しい内閣には――一本も差させない政治を期待します
11.流鏑馬と書いて何と読む?
15.ハワイで賓客の首にかけて送迎する花輪
16.気――、――泉、――情
17.円を描きながら舞う4分の3拍子の華やかな舞曲。また、その舞踏
18.今度のドラマの――はハワイです
19.臓器移植における臓器提供者

応募方法

 誰でも応募できます。答えを「東大新報 赤門クロスワード係」に送って下さい。住所・氏名・電話番号・大学(職業)・学部・学年(年齢)、紙面に対するご意見、ご感想をお書き添えください。

プレゼント

 正解者の中から抽選で10名の皆さんに「東大グッズ」をプレゼントします。当選者の発表は賞品の発送をもって替えさせていただきます。締め切りは8月25日(火)です。どんどんご応募下さい。