Interview
国際連合広報センター
所長 高島 肇久 氏
国連広報局直属の機関として、日本での国連の広報活動を行う国連広報センター。そのセンター所長であり、以前はNHKのアナウンサーであった高島肇久さんに、センターの活動内容等について伺った。
全国で広報活動を展開
| 高島 肇久 氏 |
――国連広報センターの活動内容について教えてください。
国連広報センターの元になるのがニューヨークにある国連広報局です。広報局が用意する広報用の資料や情報を国内に配り、国連を知ってもらうというのが、広報センターの主な活動です。また、国連が発行する文書や資料を保管して、国連に関する情報を一括して提供するというサービスも行っています。しかし何といっても一番大きな役割は、国連についてよりよく理解してもらうために、広報センターのスタッフが国内のさまざまな場所に出かけ、広報に努めることでしょう。
この他、国連についての国民の意識、国際社会に対する日本の世論や政治家の意見などを取りまとめ、広報局に報告することも広報センターの活動の一つです。世界の中で、国連に何が求められているのかを考えるための、基礎資料を提供するのです。国連と日本との意思疎通をさらに円滑にするための、日本における代表部的役割を果たしています。
――東大生にアンケートをとったところ、国連や国連大学についての認知度はあまり高くなかったのですが、日本国内における国連への関心についてどのように見ていますか。
日本がようやく国連に加盟できたのが、今から四十五年前です。当時は、これで平和が訪れるといって大喜びで、国内においても国連への関心は非常に高かったのです。しかし現在は、国連といえば確かにいいところだとは思うが、自分の生活とは関係ない、いわば無縁の存在として捉えられる傾向があり、国連に対するイメージの風化が起こってきていると言えます。同時に、冷戦時には国連の力の限界が指摘されましたし、国連の活動内容が多様化した結果、逆にその活動の焦点が見えにくくなってしまったという、国連側の問題もあります。こうして、日本人の意識の上では、国連が疎遠なものになってしまいました。国連は何をやっているのか、その中身がわからないというわけです。
また今までの広報センター所長はすべて外国人だったため、言葉が通じないという問題がありました。そのため、議員や役人から情報収集して、それをまとめて広報局に伝えるという仕事がスムーズに進まなかったのです。これも日本と国連との距離が開いてしまう原因となりました。そのような経緯を踏まえ、これからはもっとPRに力を入れることが大切だということで、日本人の私が選ばれたのです。これは、世界の地域に住んでいる人々との関係を密にしたいという国連の意思の現れだと思います。このままでは国連は万民の支持を失うにとどまらず、いずれ財政的にも削減の対象となりかねないという危惧の念があるのです。
そこで、今一番力を入れているのが、現在の国連の関心事や実際の取り組みについて、全国のあらゆる場所で広報活動を展開することです。この活動を通して、特に冷戦以降、国連は大きく変わったことを強調しています。冷戦終結前は、国と国との戦争を防ぐことが中心課題だったのですが、冷戦後は民族対立などが主な問題となってきたので、内戦や紛争に対しても国連は必要な措置を講じるようになりました。また、民族や文化の意識の違いが原因となってさまざまな問題が起こり得るため、国家の安全保障という考え方から次第に人間の安全保障という考え方に変わってきました。これらの解決には、経済的に豊かな国の協力が欠かせません。ですから、日本に対して技術面や人材面での協力が求められているのです。
――NGOとの接触はあるのですか。
これまでは、国連は国の政府とだけ付き合えばそれでいいという認識がありました。しかし国を通すより、もっと草の根レベルで実際に現地で活動したり、民間からの寄付を募っている団体と提携して活動したりする方がうまくいくということに気づいたのです。何か大きな問題が起きた時、まず行動するのは政府の緊急援助隊よりも、むしろ市民団体やNGOです。ですから国連でも、国との付き合いだけでなく、NGOとの付き合いを大切にしています。これを通して市民社会との連携をもっと深めようとしているのです。 日本では、阪神淡路大震災のとき以降、NGO活動が本格化してきました。NGOが国内外で力をつけていけるよう、我々も協力していきたいと思っています。
――広報センターとして、今後力を入れたいと意識していることは何ですか。
最も意識していることは、国際舞台で力を発揮しようという日本人が増えてほしいということです。活躍の場は、国連はもちろんのこと、国際機関やNGOでもかまいません。資金援助だけでなく、一人でも多くの人が国際社会で姿が見えるような協力をしていくことが大切だと思います。
今は国際化時代です。われわれはまさに地球社会に生きているわけですから、さまざまな問題をもっと国際的視野に立って考えられる人が出てこないと、紛争をはじめとした悲惨な状況はなくならないでしょう。人道的貢献や技術提供といったことについて、特に若い人たちにもっと興味と関心を持ってもらえるよう努力したいと思います。
|