Interview
NGO活動推進センター(JANIC)
事務局次長 山崎 唯司 氏
多くの開発NGOの活動をサポートし、また関係諸機関との橋渡し的な役割を果たしているJANIC。その活動内容を中心に、国連との関わり等を事務局次長、山崎唯司さんに聞いた。
全国で広報活動を展開
| 山崎 唯司 氏 |
――JANICの活動内容を教えてください。
国際協力NGOいわゆる開発NGOの多くは、その活動現場が海外になります。そのため主に国内で活動している環境NGOと比べて一般には、なじみが薄く関心の度合も低いのが実状です。また、国際協力NGOは、一部の団体を除けば規模も小さい団体がほとんどです。それぞれのミッションに対しては社会的意義を感じ開発途上国の自立支援のために活発に活動していますが、人材、活動資金といった面では非常に厳しいものがあります。このような中で、小さな団体がそれぞれバラバラに国際協力やNGO活動についての広報活動や支援者拡大活動を行っても限界があります。それならば、国際協力の重要性、またNGO活動の必要性を国内で専門的にPRしたり、さまざまな関係機関と専門的に折衝したりするNGOがあってもいいのではないか、ということで、1987年、このJANICが生まれました。ですから、JANICは他の国際協力NGOのように開発途上国での活動現場を持っていません。現場を持っているNGOが少しでも活動しやすいような社会状況を作ることがJANICの仕事です。
――具体的には、どういった活動をするのですか。
国内で国際協力に関心のある人に呼びかけて、NGO活動を支援する人たちや会員を増やす努力をします。JANICの正会員団体との国際協力支援者拡大共同キャンペーンなどは、これに当たります。またNPO法ができる時のように、国際協力NGOの意見を集約し関係機関に提言するという、意見のとりまとめ役も果たしています。逆に関係機関にしてみれば、NGOへ伝えたいことがあればJANICに伝えておけば済むわけで、関係機関、NGOとも、その分本来の仕事に専念できるわけです。JANICは、NGOの人材育成にも力を入れていて、さまざまなNGO向けの研修会も実施しています。
JANICのような団体があるのは、日本のNGOの中でも国際協力の分野だけです。国際協力の場合、目指すものが共通していて分かりやすいからでしょう。活動理念も、表現のしかたに違いはありますが、内容は、それほど違いがありません。ですから横の連携が取りやすいのです。連携して協力体制を作った後は、それぞれの得意分野でアプローチすればいいわけです。この連携をとるうえで、コーディネーターの役割を担っているのもJANICです。
――国連とのかかわりがあれば教えてください。
国連開発計画(UNDP)、国連食料農業機関(FAO)、国連児童基金(UNICEF)、世界銀行(World Bank)などとは仕事柄、かかわりを持っています。国連機関は、自らは現場を持たず、調査など通して問題解決のための提言やアドバイスを行う機関ですから、パートナーとして具体的に現場で活動するNGOを必要とします。今後ますます連携による仕事は増えるでしょう。しかし国連は、各国政府の集合体です。ここには、国同士のいろいろな思惑もあります。しかし国際協力NGOは、国の枠を超えて活動しています。国同士の思惑や資金的な縛りによって、NGOが持つ自主性、独立性が損なわれるような場合は、連携も難しくなります。
国連や国際機関と対等な関係で連携していくには、NGOも優秀な人材をそろえて専門性を高め、組織もしっかりさせ、財政基盤も安定させなければなりません。国際協力NGOも少しずつ力が付いてきています。
――国際協力について学ぶ学生に、アドバイスがあればお願いします。
大学の授業で学生と話す時に必ず聞かれるのが「どうして雇用条件の悪いNGOで長年仕事をしているのか」、また「自分たちが大学で学んだことは、果たして実社会で役に立つのか」という質問です。最初の質問の答えですが、私自身は、家のしつけや両親からの家庭教育の影響が大きいと思います。特に母親からは、「困った人がいたら知らない人でも助けてあげなさい。自分が困った時には、きっと誰かが助けてくれるから…」と常日頃言われていました。このような刷り込みが、今の仕事につながっているような気がします。次の質問の答えですが、多くの学生は、普通の営利企業に就職します。ここでは、大学で学んできた開発教育の内容は活かせません。もともと企業は営利追求が目的ですからね。本来企業のステークホルダーには、社員もその家族も含まれるはずです。しかし現実は、企業のステークホルダーと言えば株主と顧客です。特に顧客が変わらない限り企業は変わりません。企業が自ら社会開発の視点を持った組織に変わることは、ありえません。それではどうしたらいいのか。学生時代に学んだことを多くの人に伝えるのです。特に自分の結婚相手や生まれてくる子どもたちに伝えることは重要です。これを親子三代続けると、開発教育に関心をもつ人が七倍になるはずです。そうすれば企業も社会も変わります。開発教育も環境教育も、その原点は家のしつけだと思います。
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