833号(2001年6月15日号)

Interview

  財団法人オイスカ
  事務局次長 亀山 近幸 氏

 オイスカは、アジアや太平洋地域で活動を展開し、国連でも経済社会理事会のカテゴリージェネラルとしての認定も受けている。事務局長の亀山近幸さんに、オイスカの活動理念や活動内容等を聞いた。

現地の青年たちを教育

亀山 近幸 氏

――オイスカは国連諮問NGOとお聞きしましたが、国連とはどのような関係にあるのですか。

 オイスカは日本で生まれたNGOで、主にアジア・太平洋地域で国際協力を展開している、国際NGOです。また国連においては、経済社会理事会のカテゴリージェネラルの認定も受けています。この委員会の中で諮問資格を持ち、活動基盤であるアジア・太平洋地域の人々の意見を取りまとめて、国連の場で意見や議案を提出する権利を与えられています。

――オイスカの活動理念や内容を教えてください。

 端的に言うと、物質世界と心の世界の調和した世界を作っていこうというのがその理念です。このバランスが崩れるとさまざまな弊害が起きてきます。経済優先の国づくりの中でも、環境問題、教育の問題といった人間の心の部分を重要視して、両方のバランスをとっていかなければ、いい発展は望めないのではないでしょうか。ですから、途上国での農村開発の際にも、技術協力というよりはむしろ教育という面での協力に力を入れています。モノと心のバランスをとってこそ両方が育つ、そうでなければ持続可能な社会としての豊かさを得ていくことはできないと考えているわけです。
 オイスカは技術協力に行くのではなく、村の青年たちを育てに行きます。教育と技術、そして環境という問題に取り組む、これがオイスカの開発協力の柱になっています。
 人づくり、開発、環境の三本柱で取り組んできたことが国連においても高い評価を受け、1993年、国連地球サミット賞を受賞しました。理念と実際の取り組みがマッチしていたことが評価されたのだと思います。
 開発プロジェクトの中でも最も成功した、フィリピンのネグロス島の例を紹介しましょう。この島はかつて「飢餓の島」と言われていました。特産物が砂糖しかなかったこの島で、オイスカの国際協力が功を奏し、養蚕事業を成功させたのです。桑の木を植えると丸坊主の山の保全にもなるということで、貧しい山の農家を一軒一軒育てていきました。その結果、日本に生糸を輸出できるほどまでになったのです。このプロジェクトに取り組んだ隊員は、多くの研修生を育て、彼らを組織化し、その力で農村にデイケアセンターを作り、保育所を設けるところから始めて、徐々に地域社会の中で基盤を作っていきました。この土台があっての成功だったのです。
 オイスカのプロジェクトは、人を育てきることができるか否かが勝負だと思います。実際、オイスカでは一人の人間がこれに10年以上かけて取り組みました。農村開発は、技術協力よりも先に人材開発です。これが、オイスカの国際協力のやり方です。

――これからの展望について教えてください。

 これからは国内の地盤固めをしていきます。海外での協力活動を国内から援護射撃できるような基盤を作らなくてはいけません。オイスカは、日本の中でも有数の規模を誇るNGOです。しかし、この活動をさらに維持、発展させようとしたら人材と資金が必要なのです。そのためには、国内の地盤固めが欠かせません。もっと国民から支持される組織になっていかなくてはならないのです。
 オイスカでは今、他の農業協力をするNGOを集めて、一つの国際農業農村開発NGO協議会を作り、活動を始めたところです。日本のNGOが一緒に集まって活動するというのは比較的新しい考えで、これらが育つということで、将来新しい道が開けるのではないかと思っています。
 また同時に、国連をもっと活用して世界で活動できる道を切り開いていく努力もしています。これがNGOの醍醐味と言えるでしょう。オイスカでは1980年から、「子供の森」計画という森づくり運動に取り組んでいます。これはこれからの地球環境汚染に備えて、子供たちを中心として「環境」「教育」というテーマに取り組もうという計画です。今年は国際ボランティア年≠ニいうこともあり、この計画をグローバル化させようということで国連にもアピールしています。今年の10月7日、国連の五つの機関と共催して日本で1万人大会を開催する予定になっているので、これを通して多くの人に興味を持っていただけたらと思っています。また2001年を記念して、2001名の植林ボランティアの海外派遣も予定されています。皆さんにもぜひふるって参加していただきたいと思います。

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