連敗記録と東大の勝利

 東大野球部が対明大戦92連敗を記録した。連敗記録は1年に4ずつ増える訳だから、明大戦では丸23年間、勝ち星から遠ざかっていることになる。ちなみに、東京六大学野球リーグ戦における他チームとの試合についてみると、慶大戦が現在17連敗中、法大戦が11連敗中で、早大と立大に対しては、ここ1年以内に勝ち星を挙げている。
 東京六大学野球リーグ戦の連敗記録は、87年秋から90年秋にかけて続いた東大の70連敗。だがこの連敗の直前の1勝は、実は85年秋の最終戦での勝利以降続いていた30連敗に終止符を打つ勝利でもあったのである。従って、86年春から90年秋にかけての10シーズンの通算成績は1勝100敗。86年、および87年入学の学生にとっては、在学中に経験した勝利はこの1勝だけだったことになる。
 ところで、この連敗記録を調べていくと面白い事実が浮び上がる。
 91年春の開幕戦第1試合、目下70連敗中の東大は、前シーズンの優勝校立大と対戦する。東大は、この優勝の立て役者となった立大の高橋投手に手こずり、7回2死まで無走者に封じられていた。あわや「完全」か、とも思われた矢先、8回ついに東大打線が爆発。4連打などで一挙4点を奪い、4対1と快勝して通算200勝目を挙げている。
 東大が30連敗に終止符を打ち、通算199勝目を挙げたのは、87年秋の同じ開幕戦第1試合。それまで最下位を続けていた東大は、この時も前シーズンの覇者慶大との対戦だった。初回に本塁打で2点を先制した東大は、エース大沢の力投で慶大打線の反撃を1点のみに抑え、2年ぶりの勝利。連覇を目指す慶大を初戦から慌てさせた。
 明大戦での勝利は75年秋のリーグ戦にさかのぼる。この時点で11シーズン連続最下位中だった東大は、前シーズン優勝の明大とやはり開幕戦第1試合で対戦。6回に1点を先制した明大に対し、東大は7回に3連続長打で2点をあげ逆転。9回にはスクイズでダメを押し、3対1で快勝している。翌日、明大との2回戦では、2回までに3点を挙げた明大に対し、東大は4回に2点、5回、6回に1点ずつを返して逆転。4対3で明大に連勝し勝ち点を挙げたのである。連覇を狙う明大にとって予想外のつまづきとなったのは言うまでもない。ちなみにこのシーズンは、明大は8勝3敗、勝ち点4で辛くも連覇を遂げ、東大は3勝8敗、勝ち点1で5位になっている。
 一方、東大の同一チームに対する連勝記録はというと、76年秋から77年秋にかけて作った対立大戦の6連勝が最高。最近では、96年秋から97年春にかけて、やはり立大に4連勝したのが記憶に新しい。
 東大野球部の今シーズンの奮起を期待したい。