Soccer新世紀 vol.1

第816号(2000年11月15日号)

 オリンピック、アジアカップと今までになく良い結果を出してきた日本サッカー。次の目標はもちろん2002年の日韓共催のワールドカップ。そのワールドカップに向けて、サッカーの豆知識となるようなものをお伝えしようというのがこの企画。第1回はサッカーの起源と伝播について。
 サッカー、それはフットボールの母国といわれているイングランドで19世紀のうちに現在とほぼ同じルールが適用されていた。1863年、FA(サッカー協会)がロンドンに設立され、現在のサッカーの基本となるルールが制定された。カップ戦、リーグ戦もそのころには始まり、すでにプロ化も進んでいた。
 そしてサッカーは、ちょうど前世紀末から20世紀初めにヨーロッパ大陸、および南米大陸の主要都市に伝えられ、現地の英国人や英国と交流を持っていた上流階級の人々によってクラブが作られ始めた。その後急速に、サッカーは各国のあらゆる階層に拡散していった。
 19世紀はヨーロッパが、「国民国家」という新しい政治制度に基づくシステムに再編された世紀でもあった。ドイツは1871年に、イタリアは1861年にそれぞれ統一国家を樹立しするなどし、オーストラリア=ハンガリー帝国などの多民族国家は解体されようとしていた時期でもあった。
 そして、サッカーという新しいスポーツは、新しい政治システムに基づいて、各国ごとに一つの協会が作られ、その国内全てのサッカークラブを統括するという画期的なシステムも作り上げられた。しかも、各国協会の連合体として国際サッカー連盟(FIFA)が、1904年という早い時期に創立されたのは驚くべきことである。もちろん南米諸国は当時まだFIFAに加盟はしなかったので、「国際」という言葉の意味するものはヨーロッパ世界のみであったにしても、政治組織の国際連盟が作られたのが第一次世界大戦後のことだったことから見ても、FIFAという国際的な組織を創立し、将来世界選手権を開こうという考えはまさに先進的で、独創的なアイデアといっても良い。
 しかし国際的な組織作りの先頭は、フットボールの母国である英国ではなく、常にフランスを中心としたヨーロッパ大陸諸国であった。英国は政治と同じく栄光ある孤立を選んでいたようだ。
 ちなみに日本には1873年、英国海軍少佐ダグラスによってサッカーが上陸し、海軍兵寮でプレーしたのが日本初のサッカーといわれている。その後、東京高等師範学校を卒業した教師たちにより日本各地へと広まっていった。
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