1091号(2010年7月25日号)

1面主要記事

山崎さん「帰地球」を報告

  本学安田講堂

 本学OGで、4月5日から20日にかけてスペースシャトルで宇宙に飛び立っていた宇宙飛行士、山崎直子さんの「帰地球」報告会が7月8日、安田講堂で開催された。山崎さんは本学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻の修士課程を修了後、宇宙開発事業団(現・宇宙航空研究開発機構)に入社。2001年に宇宙飛行士として認定を受け、08年には今回のミッションのミッションスペシャリスト(搭乗運用技術者)に選ばれた。今回のミッションは国際宇宙ステーションの組み立てフライトであり、イタリア製の多目的モジュール「レオナルド」を用いた補給物資や実験ラックの搬入などが行われた。

 報告会の前に山崎宇宙飛行士は工学部長室を訪れ、北森武彦工学系研究科長に工学部旗を返還した。この工学部旗はフライト前に山崎さんに渡されていたもので、山崎さんと共にスペースシャトルで宇宙へ運ばれた。今後は工学部で展示されるという。

 10時30分から行われた報告会には、学内学外問わず大勢の人が詰め掛け、千人余り収容可能な安田講堂で立ち見が出るほどであった。工学系研究科航空宇宙工学専攻の中須賀真一教授による司会の下、山崎さんが講演し、ミッションの様子を報告した。スペースシャトルの中での生活や宇宙から見る地球、国際宇宙ステーションでの作業の様子などが写真やビデオで紹介され、山崎さんの宇宙での経験が共有される場となった。また、国際宇宙ステーションには野口聡一宇宙飛行士(本学大学院工学系研究科修士課程修了)が長期滞在を行っており、野口飛行士と共に作業したり日本の子供たちに無重力を実感してもらうための実験を行ったりしている様子も紹介された。

 講演の後、30分間にわたって質疑応答の時間がとられた。宇宙から地球を見てみて、地球に対する見方がどのように変わったかという質問に対して山崎さんは、地球そのものが一つの生命体だと感じられたと返答。また、宇宙飛行士を目指すモチベーションをどのように保ったらよいかという質問に対しては、宇宙飛行士に求められる質が変わってきているため、宇宙に行って自分の技術をどのように活かせるのかという視点が必要だと前置きした上で、不安になった時は、より遠くの未来を見つめたらいいとアドバイスした。その他にも、宇宙での生活やミッションに臨む心構えなど、様々な質問がなされた。宇宙飛行に関するものであるだけに、工学部航空宇宙工学科の学生からの質問が目立った。式の最後には工学系研究科および航空宇宙工学専攻から山崎さんに花束が贈られた。


記事一覧

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